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チーム天彦VSチーム豊島 ABEMAトーナメント2024~予選Cリーグ第三試合振り返り~

 7月20日(土)に放映された予選Cリーグ第三試合のチーム天彦「ロマン派」(佐藤天彦九段、斎藤明日斗五段、山本博志五段)と、チーム豊島「関西三銃士」(豊島将之九段、糸谷哲郎八段、大石直嗣七段)の試合を振り返る。予選Cリーグはチーム藤井が2連勝で突破を決めているため、この試合の勝者が2位で通過となる分かりやすい構図となった。

【第3局 豊島将之九段─山本博志五段】

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 2連敗と苦しいスタートとなったチーム豊島は3局目にリーダーが登場。居飛車穴熊に組んで押している将棋だったが、うまく振り飛車も食いついて形勢は混沌。そして逆転に成功する。

【第1図は▲6一とまで】

 ここで△4四角打が絶好打で、▲7一とに△6二角を用意しつつ、2枚の角で先手玉への寄せもにらんでいる。▲7一金としがみついたが、△9三桂で先手は指す手がない。以下▲3七桂に△8五桂と気持ち良く活用して勝負あり。強敵相手に会心の指し回しに、控室でも「神がかってるね」と感嘆の声があがった。  山本は初出場だがこのリーグで藤井聡太七冠、羽生善治九段、豊島将之九段と超強豪を破る大活躍を見せた。これでチームも3連勝とし、一気に予選通過に近付いたかに思われたが......。

【第4局 糸谷哲郎八段─斎藤明日斗五段】

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 勝負の流れは大きく傾いたかに見えたが、第4局で糸谷は意表の三間飛車を採用。作戦会議では雁木を宣言していたが、見方も欺いた。居飛車の急戦に苦しい将棋だったが、持ち前の逆転術でうまく勝負形に持ち込んでいく。

【第2図は▲8五桂まで】

 後手が食い付いて局面は混沌としてきた。▲8五桂は後手玉にプレッシャーを掛けた手だが、すかさず△8四金と投入されて焦る展開になった。▲3五角に△4四歩と受けられて後手玉に迫れない。以下は△8五金と外す手が攻防に厚くなり、糸谷が逆転勝ちを収めた。  糸谷は続く第5局にも連投し勝利。これで流れが変わったか勝負は混戦となり、フルセットへもつれ込んでいった。

【第9局 佐藤天彦九段─豊島将之九段】

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 4勝4敗のフルセットとなり、決着は最終局のリーダー対決にゆだねられた。佐藤の向かい飛車に豊島は急戦で動いていく。

【第3図は△6五歩まで】

 ここで銀を逃げると△6六香で食いつかれる。残り時間が少なくなる中で、▲6五同銀△同角▲6一飛成△同金▲同竜と踏み込んだのが好判断。△6二金で後手陣はまだ崩れないが、▲1一竜と手順に拾った香の価値が高く、先手が優位をキープしているようだ。飛車を渡したが、▲6九歩と受ける形があって先手陣は堅い。以下は後手の歩切れを突く香打ちで押し切った。

 チーム豊島が3連敗と苦しいスタートから粘り強さを発揮して逆転勝ち。Cリーグ2位での予選通過を決めた。チーム天彦は若手の活躍があったが、リーダーが全敗と奮わなかったのが痛かった。

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【総合成績】
第1局 大石●─○山本
第2局 糸谷●─○斎藤
第3局 豊島●─○山本
第4局 糸谷○─●斎藤
第5局 糸谷○─●佐藤
第6局 大石●─○斎藤
第7局 豊島○─●佐藤
第8局 大石○─●山本
第9局 豊島○─●佐藤
総合5勝 ― 4勝

【個人成績】
豊島九段 2─1
糸谷八段 2─1
大石七段 1─2
佐藤九段 0─3
斎藤五段 2─1
山本五段 2─1

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