将棋研究

将棋研究 > 将棋ニュース > チーム三浦VSチーム斎藤 第5回ABEMAトーナメント~本戦トーナメント1回戦 第二試合振り返り~

チーム三浦VSチーム斎藤 第5回ABEMAトーナメント~本戦トーナメント1回戦 第二試合振り返り~

 8月6日(土)に放映された第5回ABEMAトーナメント本戦トーナメント一回戦第二試合、チーム三浦(三浦弘行九段・伊藤匠五段・池永天志五段)とチーム斎藤(斎藤慎太郎八段・木村一基九段・佐々木勇気七段)の戦いを振り返る。ともに2位通過のチームだが、優勝争いをする力は十分にある。

【大事な初戦】

 第1局は▲池永-△木村戦になった。同じチームで前回大会を戦った仲である。相掛かりの出だしから木村が定跡を外し、14手目で前例のない形へ。どちらも粘り強く指し、二転三転の戦いを池永が制した。

5abema_0806_playback01.jpg
斎藤Tの控室。前日が佐々木の誕生日だったのでケーキが用意された。

5abema_0806_playback02.jpg
第1局は池永が勝利。三浦と伊藤は「強い」「さすが」と連呼した。

【第2局▲斎藤慎太郎八段-△伊藤匠五段】

5abema_0806_playback08.jpg

 第2局は▲斎藤-△伊藤戦。エースの伊藤が勝てばチーム三浦は勢いづく。斎藤はリーダーとして勝ちたい一局だった。

【第1図は△8六飛まで】

 伊藤が機敏な仕掛けからペースを握り、△2六馬▲同飛△8六飛とした局面が1図。▲8七歩には△7七歩成から△2六飛で飛車を抜く筋がある。うまく技を掛けたと伊藤は思ったはずだ。「△8六飛で一丁上がりと思ってしまう」と素直な心境を語っている。しかし、そう簡単ではなかった。

 ▲7九玉△8七銀▲7六銀と進み、伊藤は3分半の大長考に沈む。ここで明快な寄せがなかったのは伊藤の誤算だった。△7八銀成▲同玉△8七角と攻め続けるが、▲7七玉が勇気のある受け。以下△7六角成▲同金△8九飛成▲2四桂△4四銀▲3二桂成△同玉に▲7四角の攻防手が入り、先手が指しやすくなった。

 7四の角は詰みにも働いた。最後は3二玉に対して▲4一銀△同玉▲5三との開き王手が実現して伊藤が投了。斎藤が逆転勝ちで1勝1敗のタイに戻した。ちなみに両チームの控室メンバーは「▲3一銀に△3三玉ならわからなかった」と話していた。その変化は詰みを逃れている。ABEMAトーナメントは何があるか最後までわからない。

5abema_0806_playback03.jpg
斎藤「チームとして立て直せる一局になったと思う」

【第3局▲三浦弘行九段-△佐々木勇気七段】

 第3局は▲三浦-△佐々木戦。今度は三浦がチームを立て直す番だ。佐々木の積極策に三浦も反発し、激しい攻め合いになった。

【第2図は△4六桂まで】

 どちらも攻めの手だけを指して迎えた第2図。▲6八金は△3八桂成で後手ペースになる。先手は攻めたいが続きそうにない。控室の池永は「手があるか?」、伊藤は「いやー、きつい」と不安そうだった。この難しい局面を三浦はしのぐ。

 ▲4三歩△5二玉▲7四歩△同銀を決めてから▲5六桂△3三銀▲2六飛が好手順。飛車取りを誘発して後手を引いているが、△4八桂成▲同玉は▲4四桂打が残るという巧妙な仕掛けが施されている。これで均衡は保たれた。このあとも激戦が続いたが、三浦が一瞬の隙を突いて優位に立ち、チームに2勝目をもたらした。

5abema_0806_playback04.jpg
白星先行でバトンをつないだ三浦。池永と伊藤は「頼れるメンバー」と語った。

【一進一退】

第4局 ▲木村〇-●伊藤
第5局 ▲三浦〇-●佐々木
第6局 ▲斎藤〇-●伊藤
第7局 ▲池永●-〇木村

第4局から第7局の結果は上記の通り。伊藤は3局とも後手番を受け持つことになったとはいえ、まさかの3連敗を喫した。ターニングポイントになったのは第7局、木村の後手番での勝利だ。それまでは初戦から6局連続で先手番が勝っていた。チーム斎藤の4勝2敗で第8局を迎える。

5abema_0806_playback05.jpg
伊藤はまさかの3連敗。早指しで複数局を指すことの難しさを感じる

5abema_0806_playback06.jpg
チーム4勝目を挙げた木村。メンバーは「やった、やったー」「よき将棋でした」と歓声を上げた。

【第8局▲佐々木勇気七段-△三浦弘行九段】

5abema_0806_playback09.jpg

 第8局は▲佐々木-△三浦戦。後手は2二角が使いづらい形になり、解説者の本田五段は「先手の模様がいい」と話す。しかし、三浦も辛抱の手を続け、具体的なポイントを相手に与えなかった。

【第3図は▲7二歩成まで】

 どちらにもチャンスのある戦いだったが、第3図で均衡が崩れた。△5六香に▲6六玉と進んでみると、この先手玉が捕まえづらい。後手は包むような寄せを目指すべきだった。とはいえ、わかりやすい手があったわけではなく、すでに後手が勝ちづらい局面だったのかもしれない。

 ここで得たリードを佐々木が守りきり、決勝点となる5勝目を挙げた。佐々木はプレッシャーを感じながら戦っていたのだろう。かすれた声で終局後のインタビューに答え、「生きててよかったなと思います」と語った。

5abema_0806_playback07.jpg
勝利が決定した瞬間のチーム斎藤の控室

 チーム斎藤はメンバー全員が勝ち星を挙げ、5勝3敗でチーム三浦を破った。次戦は二回戦でチーム糸谷と戦う。以下は今回のまとめ。【総合成績】の並びは、左がチーム斎藤、右がチーム三浦。

【総合成績】
第1局 木村 ●-〇池永
第2局 斎藤 〇-●伊藤
第3局 佐々木●-〇三浦
第4局 木村 〇-●伊藤
第5局 佐々木●-〇三浦
第6局 斎藤 〇-●伊藤
第7局 木村 〇-●池永
第8局 佐々木〇-●三浦
総合  5勝 ― 3勝

【個人成績】
斎藤八段  2-0
木村九段  2-1
佐々木七段 1-2
三浦九段  2-1
伊藤五段  0-3
池永五段  1-1

次の記事:ヨーロッパ将棋選手権 (ESC)・ワールドオープン将棋選手権(WOSC)2022

前の記事:第122回職域団体対抗将棋大会のご案内

ニュースTOP