将棋研究

玉頭位取り

玉頭位取りは、主に対振り飛車で7筋の位を取り、銀を前へ進めて振り飛車側の玉頭へ圧力をかける居飛車の持久戦です。相手の美濃囲いを上から押さえ込み、自玉は広く、厚い陣形を作って中終盤へつなげます。

居飛車穴熊のように「玉を深く囲って堅さで勝つ」戦法とは異なり、玉頭位取りは位と駒の厚みで相手陣を圧迫するのが特徴です。

このページでは、玉頭位取りの基本形、7筋の位を取る狙い、美濃囲いへの攻め方、四間飛車・三間飛車への考え方、居飛車穴熊・左美濃との違い、振り飛車側の対策まで解説します。

玉頭位取りの特徴

戦法のタイプ居飛車・対振り飛車/持久戦・位取り型
攻撃性★★★
仕掛けの早さ★★
覚えやすさ★★
定跡量★★★
汎用性★★

※評価は当サイト独自の目安です。

玉頭位取りはこんな人におすすめ

玉頭位取りとは

 987654321  
          一▲
          二先手
          三 
          四 
   歩    歩 五 
   銀歩歩    六 
 歩歩 金銀歩歩 歩七 
後手 角玉金   飛車 八 
▽香車桂馬     桂馬香車九 

玉頭位取りの基本形

玉頭位取りは、先手なら▲7五歩と7筋の位を取り、銀を▲7六などへ進めて振り飛車側の玉頭を圧迫する戦法です。

振り飛車の代表的な美濃囲いは横からの攻めに強い一方、7筋は玉頭に近く、上から圧力をかけられると駒組みを制限されやすくなります。玉頭位取りは、この7筋の位を拠点に中終盤で▲7四歩などの攻めを狙います。

すぐに攻め込む戦法ではなく、序盤では位を確保し、銀・金を前へ進めながら厚い陣形を作るのが基本です。

7筋の位を取る狙い

美濃囲いの玉頭を圧迫する

玉頭位取りの最大の狙いは、7筋の位を利用して美濃囲いを上から押さえることです。

▲7五歩を拠点に銀を▲7六へ進めると、振り飛車側は△7四歩と反発しにくくなり、右桂の活用や銀冠への発展にも制約が生じることがあります。

自玉を広くする

玉頭位取りでは、玉を穴熊のように隅へ閉じ込めるのではなく、金銀を前へ配置して上部へ逃げられる余地を残します。

終盤に横から攻められた場合でも、条件が整えば玉が上部へ逃げるルートを作りやすい点は、居飛車穴熊とは異なる強みです。

位を拠点に攻めを作る

位は取っただけでは価値がありません。銀・金などを位の後ろへ配置し、相手が位を取り返せないように支えることで初めて攻撃の拠点になります。

7筋を確保したあと、6筋・8筋にも厚みを作ると、振り飛車側の駒を押さえながら玉頭攻めへつなげやすくなります。

玉頭位取りの基本的な攻め方

▲7四歩から玉頭を崩す

7筋の位を十分に支えたら、機を見て▲7四歩と突き、振り飛車側の玉頭へ直接働きかけます。

すぐに歩を交換するのではなく、相手の銀・桂馬・金の位置を確認し、歩交換後に自分の銀が前へ進めるタイミングを選ぶことが重要です。

6筋・8筋から厚みを加える

玉頭位取りは7筋だけで攻める戦法ではありません。

6筋や8筋の歩・金銀を前へ進め、複数の筋で相手陣を圧迫すると位取りの効果が大きくなります。相手の駒を押さえ込みながら、攻める場所を増やすのが理想です。

対四間飛車の玉頭位取り

四間飛車は、玉頭位取りが歴史的によく使われてきた代表的な相手です。

四間飛車側が美濃囲いへ組む場合、居飛車側は7筋の位を取り、銀を前へ進めて玉頭を圧迫します。振り飛車側は位を取られたまま待つのではなく、中央や居飛車側の薄い場所から先に動いて対抗します。

玉頭位取りは駒組みに手数がかかるため、四間飛車側に十分な攻撃態勢を作らせないことも重要です。

対三間飛車・石田流での注意点

三間飛車に対しても玉頭位取りを目指せますが、四間飛車とは相手の攻め筋が異なります。

特に石田流へ組み替えられると、振り飛車側の飛車・角・桂馬が左辺で活発に働きます。居飛車側が位取りの完成だけを急ぐと、その間に攻撃態勢を作られることがあります。

相手が石田流を急いでいる場合は、玉頭位取りに固執せず、相手の攻めを受けられる形を優先します。

居飛車穴熊・左美濃との違い

戦法主な考え方特徴
玉頭位取り7筋の位を取って上から圧迫厚み・玉の広さを重視
居飛車穴熊玉を深く囲ってから攻め合う堅さ・王手のかかりにくさを重視
左美濃比較的短い手数で玉を囲う堅さと駒組み速度のバランス型

玉頭位取りは「囲いの堅さ」よりも、盤面上部の勢力を広げて相手を押さえる戦法です。居飛車穴熊とは対振り飛車の持久戦という点は共通しますが、勝ち方の設計はかなり異なります。

玉頭位取りが以前ほど指されなくなった理由

玉頭位取りは、かつて対振り飛車の代表的な持久戦策の一つでした。

その後、対振り飛車では居飛車穴熊が発展し、玉を深く囲って攻め合う戦い方が広く研究されました。その結果、プロ棋戦では玉頭位取りの採用は以前より少なくなっています。

ただし、玉頭位取りの「位を取って相手の駒を押さえる」「厚い陣形を作る」「玉頭から攻める」という考え方自体は、現代将棋でも役立つ重要な感覚です。

玉頭位取りのメリット

美濃囲いを上から押さえやすい

美濃囲いの玉に近い7筋を確保できるため、持久戦になれば玉頭への圧力が強くなります。

玉が広く、上部へ逃げやすい

玉を盤の隅へ固定しないため、終盤に上部へ逃げる余地を作りやすくなります。

厚みを生かした中終盤を作れる

金銀が前へ出るため、相手の駒を押さえながら自分の攻撃駒を支えやすくなります。駒交換後も盤上の金銀が働きやすいのが特徴です。

玉頭位取りのデメリット・注意点

完成までに手数がかかる

7筋の位を取り、銀・金を前へ進めるため、陣形が整うまでに時間が必要です。

その間に振り飛車側から中央や反対側で先攻されると、位を取った効果を発揮する前に戦いが始まることがあります。

位を支えられないと負担になる

▲7五歩と伸ばした歩は、後ろから銀・金で支えられなければ攻撃の対象になります。

位を取ること自体を目的にせず、位の後ろへ駒を配置できるかまで考える必要があります。

横からの攻めには穴熊ほど強くない

玉頭位取りは玉の広さに長所がありますが、横から飛車を打ち込まれる展開では、居飛車穴熊ほど王手を避けやすいわけではありません。

「厚いから安全」と決めつけず、終盤は相手の飛車・角の侵入にも注意します。

玉頭位取りは初心者におすすめ?

将棋を始めたばかりの初心者には、やや難しい戦法です。

玉頭位取りは明確な急戦手順より、「位をどこまで支えるか」「いつ▲7四歩と動くか」「相手が反対側から動いたらどう対応するか」といった中盤の判断が重要だからです。

一方で、位・厚み・玉の広さという将棋の重要な考え方を学べるため、急戦や居飛車穴熊に慣れたあとに覚える戦法としては価値があります。

振り飛車側の玉頭位取り対策

完成前に別の場所から動く

玉頭位取りは完成に手数がかかるため、振り飛車側は7筋だけを受け続ける必要はありません。

中央や居飛車側の薄い筋から先に仕掛け、居飛車に受けの手を使わせることで位取りの完成を遅らせます。

位の後ろの駒を狙う

7筋の位は銀・金で支える必要があります。その支えの駒へ働きかけると、居飛車側の陣形を崩しやすくなります。

振り飛車穴熊など別の玉形を選ぶ

美濃囲いの玉頭を直接狙われるのを避けるため、振り飛車側が振り飛車穴熊など別の玉形を選ぶこともあります。

玉頭位取り側も相手の囲いが変われば、7筋の位だけに固執せず攻め方を変更する必要があります。

玉頭位取りについてよくある質問

玉頭位取りは囲いですか?戦法ですか?

一般には対振り飛車の戦法として扱われます。7筋の位を取り、銀・金を前へ配置した陣形そのものにも特徴があるため、囲いの一種として紹介されることもあります。

玉頭位取りと銀冠の違いは?

銀冠は玉を守る囲いの形、玉頭位取りは7筋の位を取って相手玉を圧迫する戦法です。どちらも上部の厚みを重視しますが、目的と駒組みが異なります。

玉頭位取りは現在でも使えますか?

使うことはできます。ただしプロ棋戦では居飛車穴熊など他の持久戦策が発展したため、以前ほど中心的な戦法ではありません。相手が美濃囲いへゆっくり組む場合には、位を取って圧迫する考え方が有効になることがあります。

玉頭位取りでは必ず7筋の位を取りますか?

基本となるのは7筋の位です。その後、6筋や8筋にも厚みを広げることがありますが、まず7筋を確保して美濃囲いの玉頭へ圧力をかけるのが出発点です。

→ 居飛車穴熊戦法との違いを見る

まとめ

玉頭位取りは、7筋の位を取り、銀・金を前へ進めて美濃囲いを上から圧迫する対振り飛車の持久戦です。

おすすめ書籍

将棋戦型別名局集2 四間飛車名局集

四間飛車対急戦・5筋位取り・玉頭位取り・左美濃・居飛車穴熊など、対四間飛車の戦型を時代順に学べる一冊です。玉頭位取りがどのような位置づけで指されてきたかを棋譜から確認したい人に向いています。

将棋囲い事典100+

さまざまな囲い・陣形を扱う事典で、「玉頭位取り物語」も収録されています。玉頭位取りそのものだけでなく、銀冠や穴熊など周辺の玉形との違いもまとめて確認したい人に向いています。

→ 将棋の関連書籍を売店で見る

関連する戦法

対振り飛車向けの戦法

将棋の戦法一覧を見る →