将棋研究

藤井システムとは?狙い・基本形・対策を初心者向けに解説

藤井システムは、藤井猛九段が研究・体系化した四間飛車の戦法です。

主に居飛車穴熊や左美濃への対策として使われ、相手が堅い囲いを完成させる前に戦いを起こすことを狙います。

振り飛車側が美濃囲いを完成させてから戦う従来の考え方とは異なり、玉を囲う手を攻撃準備に回すことがあるのが大きな特徴です。

ただし、単純に居玉のまま攻める戦法ではありません。相手の駒組みを見ながら、攻めるか、美濃囲いへ移るかを判断する必要があります。

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 後手の香車後手の桂馬   後手の金後手の銀後手の桂馬後手の香車
  後手の飛車  後手の金  後手の玉 先手
 後手の歩 後手の歩後手の歩後手の銀 後手の角後手の歩 
     後手の歩後手の歩後手の歩 後手の歩
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   先手の歩先手の歩 先手の歩先手の歩 先手の歩
 先手の歩先手の歩先手の角先手の銀先手の歩 先手の桂馬先手の歩 
後手   先手の飛車先手の金 先手の銀  
先手の香車先手の桂馬   先手の金先手の玉 先手の香車

藤井システムの特徴

項目評価
戦法のタイプ四間飛車・対持久戦・攻撃型
難易度★★★★☆
攻撃力★★★★★
覚えやすさ★★☆☆☆
初心者おすすめ度★★☆☆☆

※評価は当サイト独自の目安です。

藤井システムはこんな人におすすめ

藤井システムとは

藤井システムは、藤井猛九段が研究・体系化した四間飛車の戦法です。

藤井猛九段は、この戦法により第24回将棋大賞の升田幸三賞を受賞しています。

藤井システムが登場する以前、四間飛車側は美濃囲いに組み、居飛車側からの攻めを受けて反撃する指し方が一般的でした。

しかし、居飛車側が居飛車穴熊左美濃などの堅い囲いを採用すると、振り飛車側は玉の堅さで差をつけられやすくなります。

そこで、相手が囲いを完成させるまでの手数に注目し、その間に攻撃態勢を作るという考え方から藤井システムが生まれました。

藤井システムは、一つの決まった形を指す名称ではありません。

相手の駒組みに応じて、玉の位置、銀や桂馬の配置、仕掛ける場所を変える一連の構想を指しています。

藤井システムの基本的な狙い

相手が囲いを完成させる前に攻める

藤井システムの代表的な狙いは、居飛車穴熊を完成させないことです。

居飛車穴熊は完成すると非常に堅い一方、玉が穴熊へ移動している途中は陣形が不安定になります。

特に香車を上がり、玉が穴へ入る前後は、角筋や桂馬を使った攻撃を受けやすくなります。

藤井システムでは、この瞬間を狙って仕掛けます。

囲いに使う手数を攻撃へ回す

通常の四間飛車では、玉を移動して美濃囲いを作ります。

藤井システムでは、相手が持久戦を目指している場合、玉を囲う手を後回しにして、銀・桂馬・端歩などの攻撃準備を優先することがあります。

そのため、居飛車側より早く攻撃態勢を作りやすくなります。

一方、自玉が薄い状態で戦うため、攻めが止まると反撃を受けやすくなります。手数を攻撃へ回した分、先手を取り続けることが重要です。

相手の駒組みに応じて作戦を変える

藤井システムでは、最初から居玉で戦うと決めるわけではありません。

居飛車側が穴熊を目指せば攻撃態勢を急ぎ、急戦に切り替えた場合は美濃囲いへ移るなど、相手の動きに応じて方針を変えます。

この柔軟性が藤井システムの強みであり、難しさでもあります。

藤井システムのメリット

居飛車穴熊の完成を妨げられる

居飛車穴熊は、完成してから正面から崩すのが難しい囲いです。

藤井システムでは、完成した穴熊を攻めるのではなく、完成する前に仕掛けます。

攻撃が成功すれば、居飛車側に穴熊を断念させたり、十分に囲えていない状態で戦わせたりすることができます。

四間飛車側から主導権を握りやすい

一般的な四間飛車は、居飛車側からの仕掛けを受けて反撃する展開が多い戦法です。

藤井システムでは、振り飛車側から積極的に仕掛けるため、自分から戦いを起こしやすくなります。

受け一辺倒になるのを避け、攻撃的な四間飛車を指したい人に向いています。

相手に作戦選択を迫れる

藤井システムの攻撃態勢を見せることで、居飛車側は簡単に穴熊へ組めなくなります。

居飛車側が、次のような判断を迫られることも、藤井システムの強みです。

実際に仕掛けなくても、攻撃を見せることで相手の駒組みを制限できます。

藤井システムのデメリット・注意点

自玉が薄くなりやすい

藤井システムでは、玉を深く囲わずに戦う場合があります。

攻めている間は自玉の薄さが目立ちにくくても、攻めが止まると居飛車側からの反撃が厳しくなります。

「居玉のまま攻めればよい」と覚えるのではなく、自玉へどのような反撃があるかを確認しながら仕掛ける必要があります。

相手の駒組みを見極める必要がある

居飛車側が必ず穴熊へ組むとは限りません。

藤井システムの攻撃態勢を見て急戦へ切り替えたり、穴熊以外の囲いを選んだりすることもあります。

相手が作戦を変更したのに、穴熊だけを想定した駒組みを続けると、攻撃駒が空振りする場合があります。

手順前後の影響が大きい

藤井システムでは、一手の違いで仕掛けが成立するかどうかが変わりやすくなります。

特に、次の点を確認する必要があります。

狙いは明快ですが、正確に指しこなすには序盤の研究が必要な戦法です。

藤井システムは初心者におすすめ?

将棋を始めて最初に覚える戦法としては、やや難易度が高い戦法です。

藤井システムは相手の駒組みに応じて攻め方を変える必要があり、決まった形へ組むだけでは使いこなしにくい面があります。

まずは通常の四間飛車を通して、次の考え方を覚えてから挑戦すると分かりやすくなります。

  1. 飛車を振る
  2. 美濃囲いに組む
  3. 飛車と角をさばく
  4. 居飛車の急戦を受ける
  5. 居飛車穴熊の基本形を知る

一方、すでに四間飛車を指していて、居飛車穴熊に苦戦している人には有力な選択肢となります。

最初から細かな定跡をすべて暗記するのではなく、「穴熊が完成する前に攻める」「相手が急戦なら自玉を囲う」という二つの考え方から覚えるとよいでしょう。

藤井システムにはどんな種類がある?

藤井システムは、主に相手の囲いによって二つに分けられます。

種類主な相手基本的な狙い
対居飛車穴熊藤井システム居飛車穴熊穴熊が完成する前に仕掛ける
対左美濃藤井システム左美濃・天守閣美濃玉頭や玉のコビンを攻める

一般に藤井システムという場合、対居飛車穴熊の作戦をイメージする人が多いでしょう。

しかし、藤井システムが最初に広く知られるきっかけとなったのは、左美濃、特に天守閣美濃に対する戦い方でした。

対居飛車穴熊の藤井システム

基本的な駒組み

先手四間飛車の場合、次のような駒組みが一例となります。冒頭の図1は、▲3七桂まで進んだ局面です。

▲7六歩△8四歩▲7八銀△3四歩
▲6六歩△6二銀▲6八飛△4二玉
▲1六歩△1四歩▲4八玉△3二玉
▲3八銀△5四歩▲5八金左△5二金右
▲6七銀△8五歩▲7七角△5三銀
▲3九玉△3三角▲4六歩△2二玉
▲3六歩△4四歩▲3七桂

この形では、先手玉をすぐ▲2八へ入れず、▲3九にとどめています。

後手が居飛車穴熊を目指す場合は、右桂、右銀、角などを攻撃へ参加させます。後手が急戦に切り替えた場合は、▲2八玉と美濃囲いへ入る余地を残しています。

桂馬・銀・角を攻撃へ参加させる

対居飛車穴熊では、次のような手が攻撃の候補となります。

どの手を選ぶかは、居飛車側の金や銀、玉、香車の位置によって変わります。

藤井システムでは「この形なら必ず仕掛ける」というより、相手の駒組みのわずかな遅れを見つけて攻撃することが重要です。

穴熊を断念させるだけでも効果がある

藤井システムの目的は、必ず短手数で相手玉を寄せることではありません。

居飛車側に穴熊を断念させ、十分に囲えていない状態で戦わせれば、振り飛車側は作戦上の成果を得たと考えられます。

無理に攻め切ろうとせず、相手が囲いを変更したら自分も玉を囲うなど、方針を切り替えることが大切です。

対左美濃の藤井システム

対左美濃藤井システムは、左美濃の中でも、特に天守閣美濃を攻めるために発達した作戦です。

天守閣美濃は横からの攻めに強い一方、玉が高い位置にいるため、玉頭からの攻撃が直接響きやすくなります。

藤井システムでは、飛車をさばいて横から攻めるだけでなく、玉頭へ攻撃の狙いをつけます。

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 後手の香車 後手の玉  後手の金 後手の桂馬後手の香車
   後手の銀 後手の金後手の飛車後手の銀  先手
   後手の桂馬   後手の角後手の歩後手の歩
 後手の歩後手の歩後手の歩 後手の歩後手の歩後手の歩  
    後手の歩   先手の歩 
  先手の歩先手の歩 先手の歩    
 先手の歩先手の玉 先手の歩先手の銀先手の歩先手の歩 先手の歩
後手  先手の銀先手の角先手の金  先手の飛車 
▽ 先手の香車先手の桂馬先手の金    先手の桂馬先手の香車
図2:対左美濃藤井システムの駒組みの一例。後手が上側で、△7一玉・△7三桂・△6五歩・△8四歩と構える。持ち駒は双方なし。

玉を一段目にとどめる

後手四間飛車の場合、玉を通常の美濃囲いの△8二まで移動させず、△7一にとどめる形が代表的です。

△8二玉の一手を省略することで、桂馬や歩を使った攻撃準備を急ぐことができます。

また、8筋で玉頭戦になった場合も、△7一玉の方が戦場から離れています。

6筋の位を取る

△6五歩と位を取ることで、居飛車側が金銀を使って左美濃を理想形へ発展させるのを制限します。

さらに角筋を利用して、天守閣美濃の玉のコビンや玉頭へ圧力をかけることを狙います。

8筋から玉頭を攻める

△7三桂や△8四歩から攻撃態勢を作り、機を見て△8五歩などと玉頭を攻めます。

天守閣美濃は横からの攻撃には強い囲いですが、玉頭を直接攻められると玉そのものが攻撃目標になります。

対左美濃藤井システムが広まったことで、天守閣美濃は以前ほど採用されなくなりました。

藤井システムへの基本的な対策

居飛車穴熊に決め打ちしない

藤井システムは、居飛車側が穴熊へ組む手数を利用して攻撃態勢を作ります。

そのため、早い段階から居飛車穴熊に決めると、振り飛車側に狙いを絞られやすくなります。

急戦も選べる形を保ち、振り飛車側の出方を確認してから囲いを決めることが対策になります。

振り飛車側の居玉を攻撃する

藤井システムでは、振り飛車側の玉が十分に囲われていないことがあります。

居飛車側が急戦を見せれば、振り飛車側も攻撃準備だけを続けにくくなります。

ただし、藤井システム側も急戦には美濃囲いへ移ることができます。急戦を見せれば自動的に有利になるわけではなく、通常の四間飛車急戦の知識も必要です。

ミレニアム囲いへ組む

ミレニアム囲いは、玉が角筋から外れ、居飛車穴熊とは異なる位置に収まる囲いです。

藤井システム特有の角筋や端攻めが直接届きにくいため、藤井システムへの対策として用いられてきました。

ただし、ミレニアム囲いも完成までに手数がかかります。組んでいる途中に攻められないよう、振り飛車側の動きを確認する必要があります。

攻めの形が整う前に動く

藤井システム側の桂馬・銀・角がすべて攻撃へ参加すると、居飛車側は受けに回りやすくなります。

振り飛車側の攻撃態勢が完成する前に歩を交換したり、角を使ってけん制したりすることで、自由な駒組みを妨げることが重要です。

藤井システムについてよくある質問

藤井システムを考案したのは藤井聡太棋士ですか?

藤井システムの「藤井」は藤井聡太棋士ではなく、藤井猛九段を指します。

藤井猛九段が研究・体系化した戦法で、自身の名字から藤井システムと呼ばれています。

藤井システムは必ず居玉で戦いますか?

必ずしも居玉で戦うわけではありません。

相手が居飛車穴熊を目指す場合は玉を囲わずに攻める形がありますが、相手が急戦に切り替えた場合は美濃囲いへ移ることもあります。

相手の作戦に応じて玉の位置を変えられることも、藤井システムの重要な特徴です。

藤井システムには決まった基本形がありますか?

代表的な基本形はありますが、一つの形だけを指す戦法ではありません。

居飛車側の囲いや手順によって、銀、桂馬、玉の位置や仕掛ける場所が変化します。

形を暗記するだけでなく、それぞれの駒が何を狙っているかを理解する必要があります。

藤井システムは現在でも使えますか?

居飛車側の対策が進み、登場当時と同じ攻め方が通用するとは限りません。

一方、「相手が囲う手数を攻撃へ利用する」「相手の駒組みに応じて自玉の位置を決める」という考え方は、現在の四間飛車にもつながっています。

すでに通用しない過去の戦法というわけではありませんが、古い定跡をそのまま覚えるのではなく、現在の対策も含めて学ぶ必要があります。

三間飛車でも藤井システムは使えますか?

藤井システムは四間飛車から発達した戦法です。

その考え方を三間飛車へ応用した「三間飛車藤井システム」と呼ばれる作戦もありますが、元祖の藤井システムとは駒組みや攻め方が異なります。

最初に学ぶ場合は、四間飛車の藤井システムから理解すると分かりやすくなります。

まとめ

藤井システムは、藤井猛九段が研究・体系化した四間飛車の戦法です。

主に居飛車穴熊や左美濃に対して、次の考え方で戦います。

攻撃力が高く、振り飛車側から主導権を握りやすい一方、自玉が薄いため、仕掛けの正確さが求められます。

まずは通常の四間飛車と美濃囲いを覚えたうえで、居飛車穴熊対策として藤井システムを学ぶとよいでしょう。

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